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2026/04/29Claude Code
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Hermes AgentとOpenClawの違いを実務者が解説

Hermes AgentとOpenClawの違いを実務者が解説

Hermes Agentとは何か。OpenClawと並んで2026年最も注目されているオープンソースAIエージェントですが、設計思想は大きく異なります。私はClaude Codeをメインの開発・業務基盤として運用しており、似た「育つAI」の概念を実務で扱っているため、Hermes Agentの位置付けが見えてきました。本記事ではHermes Agentの全体像と、OpenClawとの違いを実務者の視点で整理します。

Hermes Agentとは|Nous Researchが公開した「育つAIエージェント」

Hermes Agentは、Hermes 4モデルなどで知られるオープンソース系AI研究組織Nous Researchが2026年2月25日に公開した、自律型AIエージェントです。MITライセンスの完全オープンソースで、ローカルマシン・$5のVPS・GPUクラスタ・サーバーレスなど、ほぼあらゆる環境で動かせます。

最大の特徴は「セッションをまたいで学習し続ける」という設計思想です。永続的なメモリシステムを持ち、解いたタスクから自動でスキルを生成し、使えば使うほど特定の業務に特化していきます。Telegram・Discord・Slack・WhatsApp・Signal・Email・CLIといった主要メッセンジャーから操作でき、MCP(Model Context Protocol)にも対応しています。

7週間で95,000スターを獲得した急成長

Hermes AgentはGitHubで急速に存在感を増しています。リリースから7週間で95,000スターを突破し、4月時点ではすでに10万スターを超えるペースで伸び続けています。OpenClawの34万スター超には及びませんが、後発でこの伸びは異例の速さです。

背景には、OpenClawで顕在化した「ClawHub経由のサプライチェーン攻撃」(2,857スキル中341件が悪意ある内容と特定された問題)があります。Hermes Agentは設計上スキルを自分で生成するため、外部マーケットプレイスを介在させない。この点に安心感を覚える開発者が一定数いるのは事実です。

Nous Research公式が打ち出した「The Agent That Grows With You」

Nous Researchは公式X(旧Twitter)で、Hermes Agentを次のように紹介しています。

"Meet Hermes Agent, the open source agent that grows with you. Hermes Agent remembers what it learns and gets more capable over time, with a multi-level memory system and persistent dedicated machine access."

— Nous Research(@NousResearch

キーワードは「grows with you(あなたと共に育つ)」。一度デプロイしたら終わり、ではなく、稼働させながら賢くなっていくエージェントとして打ち出しています。多層メモリシステムと専用マシンへの永続アクセスを前提に設計されている点が、汎用ゲートウェイ的な位置付けのOpenClawとは大きく異なります。

Hermes AgentとOpenClawの設計思想の違い

両者を比較する記事は海外で大量に出ていますが、技術仕様の羅列だけでは本質が見えません。私が読んだ限り、設計思想の違いを最も的確に言語化しているのは次の表現です。

"Hermes Agent packages a gateway around a learning agent, while OpenClaw packages an agent around a messaging gateway."
(Hermes Agentは「学習するエージェント」をゲートウェイで包み、OpenClawは「エージェント」をメッセージングゲートウェイで包んでいる)

— The New Stack 記事より

OpenClaw=「広いゲートウェイ」志向

OpenClawはWhatsApp・Telegram・Slack・Discord・iMessageなど多数のメッセンジャーをハブで束ね、ClawHubと呼ばれるスキルマーケットプレイスから5,700件以上のコミュニティスキルを取り込めます。「広く繋がる」「すぐ使える」が強みで、AIエージェントを業務に組み込む際の総合的な接続性で優れます。

マルチエージェントオーケストレーションや決定論的なcronスケジューリングも備えており、複数チャネル・複数エージェントを束ねる司令塔としての完成度は高い。一方で、汎用性が極めて高い反面、何でもできてしまう=何でもしでかす可能性があるのが運用上の課題です。

Hermes Agent=「深い学習ループ」志向

Hermes Agentが力点を置くのは「同じ仕事を繰り返すほど賢くなる」という縦方向の進化です。Nous Research内部のベンチマークでは、自己生成したスキルを20個以上持つエージェントは、新規インスタンスに比べて類似タスクを40%高速に完了させたと報告されています。

また、複数ステップにまたがる長時間タスク(Long-Horizon Task)の評価では、Hermesの学習ループによりOpenClawよりエラーからの回復率が22%高かったとされています。一度失敗しても、その失敗を踏まえてスキルを書き換え、次は同じ間違いを繰り返さない。この自己更新サイクルが、深い学習ループ志向の核です。

開発者が体感した違い(コミュニティの証言)

海外の開発者コミュニティでは、すでに移行体験記が多数公開されています。たとえばMediumに投稿された「I Switched from OpenClaw to Hermes Agent. Here's What Nobody Told Me」では、次のような声が紹介されていました。

「OpenClawをClaudeで動かしていたときは1日$100のトークン消費だったが、Hermes AgentでKimi K2.5を組み合わせたら1日$3で済むようになった」

— Medium 記事より

これはモデル選択の影響も大きいので一般化はできませんが、Hermes Agentの設計がモデル不問(model-agnostic)であることを物語る数字ではあります。Claude・GPT・Gemini・オープンモデルのいずれでも動かせるため、コスト最適化の自由度が高い。

一方で、DEV CommunityのレビューではHermes Agentの限界も率直に語られています。

「『grows with you』『gets more capable』というフレーミングは、実態が構造化されたノートテイキングであることを考えると少し誇張気味。とはいえ実装そのものは堅実」

DEV Community Hermes Agentレビューより

つまり「自己進化する魔法のAI」ではなく、メモリとスキルの自動整理を真面目に作り込んだエージェントとして理解するのが正確です。

機能比較|メモリ・スキル・統合先・価格

主要な仕様を表に整理しました。

項目

Hermes Agent

OpenClaw

開発元

Nous Research

OpenClaw財団(旧Peter Steinberger氏)

初公開

2026年2月

2025年11月

ライセンス

MIT(OSS)

OSS(無料)

GitHub Stars

約95,000(4月時点・7週で達成)

34万超(4月時点)

設計思想

深い学習ループ志向

広いゲートウェイ志向

メモリ

多層メモリ+FTS5セッション検索+自動nudge

ファイルベースの永続メモリ

スキル

自己生成(agentskills.io標準対応)

ClawHub(5,700+のコミュニティスキル)

統合先

Telegram/Discord/Slack/WhatsApp/Signal/Email/CLI/MCP

WhatsApp/Telegram/Slack/Discord/iMessage等

サブエージェント

名前空間分離・並列実行可

マルチエージェントオーケストレーション

セキュリティ

CVE報告ゼロ(4月時点)

CVE-2026-25253(CVSS 8.8)報告あり

動作環境

$5 VPS〜GPUクラスタ・Docker/SSH/Modal等5バックエンド

ローカル中心

機能の網羅性ではOpenClawが優勢、メモリと自己進化の作り込みではHermes Agentが優勢、というのが2026年4月時点の構図です。

Hermes Agent vs OpenClaw 設計思想の違い

永続メモリと自動スキル生成の仕組み

Hermes Agentの中核機能であるメモリとスキルの仕組みは、私がClaude Codeで日々運用している知見蓄積システムと驚くほど近い設計思想で作られています。

階層化されたメモリシステム

Hermes Agentのメモリは大きく3層に分かれています。

  • MEMORY.mdへの永続ノート:エージェント自身が「これは保存すべき」と判断した事実を、Markdownファイルとして書き出す
  • FTS5によるセッション検索:過去のセッション履歴をフルテキスト検索+LLM要約で取り出せる
  • nudge_intervalによる定期リマインダ:一定間隔でエージェント自身に「振り返って残すべきことはあるか」と問いかける仕組み

OpenClawがリアクティブ(モデルが書きたいときだけ書く)なのに対し、Hermes Agentは「保存し忘れない」ための足場を組んでいる点が大きな違いです。

さらに踏み込んだ実利用者の解説では、メモリは3つのMarkdownファイルで人格・利用者・案件を分離している、という指摘もあります。

SOUL.mdはエージェントの声・拒否事項・想定読者などの人格を定義する。USER.mdはあなた個人の役割・トーン・コンテキスト・トレードオフ嗜好を保持する。MEMORY.mdはプロジェクトについての真実を蓄積する。すべてFTS5+LLM要約でインデックスされ、8週間前のメモリでも今のセッションに引き出せる」

— Sharbel氏(@sharbel)のX投稿より

この「人格・利用者・案件の3分離」は、私がClaude Codeで採用している「CLAUDE.md(プロジェクト規約)/rules/(横断ルール)/data/(案件知見)」の役割分担と発想が近い。ファイル単位で責務を切り分けて、AIに何を見せるかを意識的に管理するという運用思想は、両者で共通しています。なお、Hermes Agentにはこの3MDの他にも、開発者があまり触っていない便利機能が多数あります。代表的な15機能をまとめた別記事も用意したので、より深く知りたい方は合わせてご覧ください。

Hermes Agent 使い方|知られていない15の便利機能
Claude CodeHermes Agent 使い方|知られていない15の便利機能

成功ワークフローを再利用可能なスキルに変換

複雑なタスクを解いたあと、Hermes Agentは「この手順は他でも使える」と判断するとスキル文書を自動生成します。生成されたスキルは検索可能でシェアもでき、agentskills.ioというオープン標準とも互換性があります。

OpenClawはClawHubから既製スキルをダウンロードする方式なので、ここは自分で蓄積するか/共有資産から借りるかという思想の違いに直結します。

私がClaude Codeで実感している「育つAI」との共通点

私自身、Claude CodeをMax 20xプランで運用しながら、CLAUDE.md・Skills・rules/・skill-components/といったハーネスを日々アップデートしています。最初から完成形だったわけではなく、セッション間のコンテキスト引き継ぎを観察しながら微調整を重ねてきました。

「learnings/に月単位で蓄積→月末に正式DBへ昇格」というサイクルを回す中で、ある時点からセッションごとの出力品質が確実に上がるのを実感しました。Hermes Agentの「nudge_interval+自己生成スキル」は、私がClaude Codeで手動運用してきたこのサイクルを仕組みとして組み込んだものに見えます。

ただし重要な違いもあります。Claude CodeのMEMORYやSkillsは私の判断で書き換え・整理ができるのに対し、Hermes Agentはエージェント自身が更新する。これは便利な反面、「何が記録されているか」を人間が把握しにくいというトレードオフを抱えています。

Hermes Agentが「育つ」3つの仕組み

セキュリティ観点|自己生成スキルがもたらす意味

ClawHubのサプライチェーン攻撃事件

OpenClawが急成長するなかで、2026年初頭にClawHub経由のサプライチェーン攻撃が浮上しました。Koi Securityの調査によると、ClawHub上の2,857スキル中341件が悪意ある内容と特定されたと報告されています。スキルマーケットプレイスは便利な反面、悪意あるコードを混入させる供給経路にもなります。

これは「エコシステムが大きくなれば必然的に発生するリスク」であり、OpenClaw固有の問題ではありません。npm・PyPI・VS Code Extensions・GitHub Marketplaceなど、開発者向けエコシステムが繰り返し直面してきた課題と同じ構造です。

Hermes Agentに「マーケットプレイス」が存在しない理由

Hermes Agentは設計上、スキルがエージェント内部で生成されるため、外部マーケットプレイスをそもそも持ちません。スキル生成のプロセスがローカルで完結するので、サプライチェーン攻撃面が小さくなります。2026年4月時点でHermes Agent固有のCVEは報告ゼロです。

とはいえ「絶対に安全」ではありません。LLM自身がコード生成する以上、プロンプトインジェクションや意図しない権限昇格のリスクは残ります。コンテナ強化や名前空間分離はHermes Agentにも組み込まれていますが、運用設計次第で安全性は変わります。

私の実感としては、ここはClaude Codeの運用と同じ判断軸で考えるべき部分です。permissionsで許可範囲を絞り込み、Hooksで強制チェックを入れ、不要なMCPは外す。「便利だから入れる」のではなく「本当に必要かを案件ごとに判断する」のがエージェント運用の基本です。

中小企業はHermes Agentを今導入すべきか

個人開発者・小規模チーム向きの設計

Hermes Agentが想定する「理想的なユーザー像」は、海外メディアの言葉を借りれば次のような層です。

「同じクラスのタスクを数週間〜数ヶ月にわたって繰り返す、ソロ開発者または小規模チーム。日次のコードレビュー、週次のアーキテクチャ文書化、定期的なインシデントポストモーテムを行うバックエンドエンジニアであれば、自己生成スキルが蓄積するにつれて時間とトークンが目に見えて削減される」

逆に言えば、毎回違う種類の単発タスクをこなす業務には旨味が薄い。Hermes Agentの自己進化は「同じパターンを繰り返す」という前提があってこそ機能します。

私が中小企業に勧めない3つの理由

結論として、現時点で日本の中小企業にHermes Agentの本格導入を勧めることはありません。理由は3つです。

  • v0.x台で破壊的変更が頻繁:マイナーバージョン間でも互換性が崩れる可能性があり、業務システムとして組み込むには時期尚早です
  • 運用に英語・コマンドライン・サーバー知識が要る:Telegram連携やDocker運用は非エンジニアには敷居が高く、社内に運用担当が必要になります
  • 日本語ユースケースの蓄積が薄い:海外の事例は豊富ですが、日本の中小企業特有の業務(介護記録・建設日報・補助金申請など)に最適化された運用パターンはまだ存在しません

このあたりは私が以前OpenClawについて書いた見解とも重なる部分があるので、合わせて参考にしてください。

OpenClawとは?安全に使うための実践ガイド
AI業務効率化OpenClawとは?安全に使うための実践ガイド

ただし、運用知見は今から積む価値がある

とはいえ「数年待てばいい」とも思いません。Hermes AgentやOpenClawの登場が示しているのは、AIエージェントが「使い捨てのチャット」から「育てるインフラ」に変わりつつあるという流れです。この流れ自体は不可逆で、いずれ日本の中小企業にも到達します。

そのときに備えて、私は次の準備を勧めています。

  • Claude CodeのCLAUDE.md・Skills・MEMORY運用に慣れる:Hermes Agentの中核概念とほぼ同じ構造を、より安定した環境で先に経験できます
  • permissions・Hooksの運用設計を社内標準化する:どのエージェント基盤を採用しても、許可範囲と強制チェックの設計思想は転用できます
  • 「どの業務を繰り返しているか」を棚卸しする:自己進化型エージェントが効くのは反復タスクです。先に対象業務を特定しておけば、ツールが成熟したときの導入が早くなります

Hermes AgentとOpenClawの選び方

Hermes Agent vs OpenClaw 選び方マトリクス

Hermesが向いているケース

  • 同じパターンの業務を毎日・毎週繰り返している
  • セットアップの簡単さとデフォルトメモリ品質を重視したい
  • 外部マーケットプレイス由来のサプライチェーンリスクを避けたい
  • 個人または2〜3名の小規模開発チーム
  • モデルの選択肢を柔軟に持ちたい(Claude・GPT・オープンモデル切替)

OpenClawが向いているケース

  • 複数チャネル(Telegram+Slack+Discordなど)を同時に束ねたい
  • マルチエージェントオーケストレーションが必要
  • 決定論的なcronスケジューリングを業務に組み込みたい
  • 巨大なコミュニティスキルエコシステムを活用したい
  • 運用エンジニアが社内にいて、CVE対応もできる

両方とも「待ち」が正解の業種

介護・建設・保育・小規模クリニックといった、私がメインターゲットとしている業種では、現時点で両方とも「待ち」が正解です。代わりに、Claude Codeをベースとしたカスタム自動化や、Claude in Excelのような既存ソフトとの統合の方が費用対効果が圧倒的に高い。

AIエージェントの議論はChatGPT等の汎用チャットとは別の文脈なので、その違いを整理した記事も合わせてご覧ください。

AIエージェントとは?ChatGPT・Copilotとの違いと中小企業活用を実務者が解説【2026年最新】
Claude CodeAIエージェントとは?ChatGPT・Copilotとの違いと中小企業活用を実務者が解説【2026年最新】

まとめ|「育つAIエージェント」時代の現在地

Hermes Agentは、Nous Researchが2026年2月に公開した自己進化型のオープンソースAIエージェントです。OpenClawが「広く繋がるゲートウェイ」を志向するのに対し、Hermes Agentは「同じ仕事を繰り返すほど賢くなるエージェント」を志向しています。

多層メモリシステム・自動スキル生成・サプライチェーン攻撃面の小ささなど、設計の作り込みは確かに高水準です。一方で、v0.x台の不安定さ・運用ハードルの高さ・日本語ユースケースの不足から、中小企業の実業務にいま投入するのは時期尚早だと考えています。

大事なのは、OpenClawかHermes Agentかを選ぶことではなく、自社の業務をAIエージェントが扱える形に整備しておくことです。CLAUDE.mdに相当するルール文書、繰り返し業務の特定、permissionsの設計思想。これらは私がClaude Codeで日々運用している考え方ですが、どのエージェント基盤を選んでも転用できる資産になります。

AIエージェントは「派手な新ツール」から「業務に根を張るインフラ」へ移りつつあります。Hermes AgentやOpenClawの動向は、その変化が想像より早く進んでいることを示しています。

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