Date

2026/03/27

Category

AI業務効率化

Title

保育園のICT化に補助金を使う方法と、導入後に差がつくポイント

保育園のICT化に補助金を使う方法と、導入後に差がつくポイント

保育園のICT化を補助金で進めたいと考えている園長先生・経営者の方へ。

保育ICT化の補助金制度は存在しますが、「申請が難しそう」「導入しても使いこなせるか不安」という声をよくお聞きします。

私は株式会社Fyveの代表として、介護施設向けのIT導入補助金申請やAIシステム開発に携わってきました。その経験を保育業界にも橋渡ししながら、実際に幼稚園向けの業務効率化システムを開発した実績があります。

本記事では、保育ICT補助金の概要から、導入後に「本当に定着する」ためのポイントまでをお伝えします。

保育ICT補助金の制度概要 ― 最大100万円の支援を活用する

保育現場のICT化を支援する代表的な制度が、こども家庭庁(旧厚労省)の「保育所等におけるICT化推進等事業」です。保育に関する計画・記録、保護者との連絡、登降園管理、キャッシュレス決済など、保育の周辺業務をICT化するための費用が補助されます。

補助基準額

  • 1機能導入:1施設あたり20万円(端末購入等を含む場合:70万円)
  • 2機能導入:1施設あたり40万円(端末購入等を含む場合:90万円)
  • 3機能導入:1施設あたり60万円(端末購入等を含む場合:最大100万円

補助割合

  • 私立園の場合:国 1/2、市区町村 1/4、事業者 1/4
  • 公立園の場合:国 1/2、自治体 1/2

つまり私立園であれば、自己負担は全体の4分の1で済みます。100万円の補助対象であれば、自己負担は25万円です。

ただし注意点があります。この補助金は都道府県または市区町村が実施主体です。申請方法や公募時期は自治体ごとに異なるため、まずはお住まいの自治体の保育課に問い合わせることが第一歩です。

参考:こども家庭庁「保育所等におけるICT化推進等事業」資料

保育ICTの導入率 ― 令和8年度「100%」目標の現実

こども家庭庁は令和8年度までに保育施設のICT導入率100%を掲げています。実際の導入状況はどうでしょうか。

2024年時点のデータでは、いずれかの保育ICTを導入している施設は84.4%。一見高い数字に見えますが、4つの主要機能(計画・記録、保護者連絡、登降園管理、指導要録作成)をすべて導入している施設はわずか11.7%にとどまっています。

機能別に見ると、保護者との連絡機能(71.5%)や登降園管理(71.3%)は普及が進んでいる一方、保育に係る計画・記録(55.4%)や指導要録作成(45.9%)はまだ半数前後です。

参考:CoDMON「令和8年度までにICT導入率100%へ」

つまり、「ICTを入れているが、一部の機能しか使えていない」という園が大半です。ここに「導入後に差がつく」ポイントがあります。

補助金申請の実践的な進め方

保育ICT補助金 活用の流れ

私はIT導入支援事業者として登録しており、介護施設でのIT導入補助金申請を複数件サポートしてきました。保育と介護では業種は異なりますが、補助金申請のプロセスには共通点が多くあります。

ステップ1:自治体の公募要項を確認する

保育ICT補助金は自治体経由です。まずは以下を確認しましょう。

  • 公募の時期(年度初めに出ることが多い)
  • 対象となるICT機能の範囲
  • 補助率・上限額(自治体独自の上乗せがある場合も)
  • 採択のスケジュール

ステップ2:IT導入支援事業者と連携する

補助金申請には、導入するシステムの仕様書や見積書、事業計画の作成が必要です。これを園の職員だけで行うのはかなり負荷が高い作業です。

IT導入支援事業者に相談すれば、申請書類の作成サポートから、どの機能を優先すべきかのアドバイスまで受けられます。介護施設の案件では、申請書のたたき台を私のほうで作成し、施設側の負担を最小限にした経験があります。保育園でも同じアプローチが可能です。

ステップ3:導入と定着を一体で考える

補助金は「導入して終わり」ではなく、実際に業務改善につながることが本来の目的です。ここが最も重要なステップで、次のセクションで詳しく解説します。

導入後に差がつく ― 「使いながら育てる」開発プロセス

保育ICTの導入で最もよくある失敗は、「システムを入れたが、現場が使いこなせず放置される」というケースです。導入率のデータが示すように、多くの園が一部機能しか活用できていません。

私は介護施設向けに、「使いながら育てる」開発プロセスで定着に成功した経験があります。これは保育現場にもそのまま適用できる手法です。

最小機能から始める

いきなり全機能を導入するのではなく、現場が最も負担に感じている業務を1つ選び、そこから着手するのがポイントです。

実際に私が幼稚園向けに開発したのは、業務メモの音声入力システムでした。スマホで音声入力したメモがデータベースに送信され、スプレッドシートに自動保存される仕組みです。保育士さんは子どもを見ながらメモを取る必要がありますが、手書きだと時間がかかる。音声入力なら、空いた数秒で記録が残せます。

現場のフィードバックで改善を重ねる

介護施設での経験ですが、最初にリリースしたシステムはお世辞にも完璧とは言えませんでした。しかし、現場で使ってもらいながら「ここが使いにくい」「この機能がほしい」というフィードバックを受け、2週間ごとに改善を重ねた結果、3ヶ月後には日常業務に完全に組み込まれました。

大手のパッケージソフトでは、こうした柔軟な改善は難しいのが実情です。自社の業務フローに合わせてカスタマイズできることが、定着率を大きく左右します。

ITリテラシーの壁を乗り越える設計

保育士のICTリテラシーが心配という声は非常に多いです。介護施設でも全く同じ課題がありました。

ある介護施設では60代の施設長が日常的にシステムを使いこなしています。成功の鍵は、徹底的にシンプルなUI設計でした。ボタンの数を最小限にし、操作手順を3ステップ以内に収める。文字サイズを大きくし、色のコントラストをはっきりさせる。こうした配慮は、保育現場のICT導入でもそのまま活かせます。

ICT導入で得られる具体的な効果

ICT化推進の先行事例では、導入前に35.7%の職員が「とても負担を感じている」と回答していたのに対し、導入後わずか1ヶ月でその割合が8.3%にまで減少したというデータがあります。

参考:保育施設のICT化支援 実装報告(TRY ANGLE EHIME)

具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • 登降園管理の自動化:手書き記録が不要になり、月末の集計作業も自動化
  • 保護者連絡のデジタル化:朝の電話対応が激減し、子どもの受け入れに集中できる
  • 月案・日誌のシステム化:過去データの呼び出しや自動入力で記録時間を短縮
  • 転記作業の削減:同じ情報を何度も書く必要がなくなる

こうした時間の節約は、単なる効率化ではありません。保育士が子どもと向き合う時間を増やすことにつながります。これこそが、保育ICT化の本質的な目的です。

まとめ ― 補助金は「入口」、定着が「本番」

保育園のICT化に使える補助金は、最大100万円(端末含む3機能導入の場合)と手厚い制度です。自己負担は4分の1で済むため、活用しない手はありません。

ただし、本当に大切なのは導入後に現場で定着させることです。パッケージソフトを入れるだけでは、使われないまま埃をかぶるケースも少なくありません。

当社では、補助金申請のサポートから、現場に合わせたシステムの開発・定着支援まで一貫してお手伝いしています。「まず何から始めればいいかわからない」という段階でもお気軽にご相談ください。

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