Date

2026/03/27

Category

AI業務効率化

Title

介護施設の離職率を下げたいなら、まず書類業務を減らすべき理由

介護施設の離職率を下げたいなら、まず書類業務を減らすべき理由

AI業務効率化システムの開発を手がける株式会社Fyveです。介護施設の離職率を下げるための対策として、人手不足の解決策を模索している方は多いのではないでしょうか。

「人が足りない」「求人を出しても集まらない」——そんな悩みを抱える介護施設は少なくありません。しかし、離職率を下げるために最初に取り組むべきことは、実は書類業務の削減だと私は考えています。

この記事では、私が実際に介護施設向けにAI記録システムを開発・導入した経験をもとに、書類業務と離職率の関係、そして具体的な解決策をお伝えします。

介護業界の離職率の現状——データが示す深刻な課題

公益財団法人介護労働安定センターが実施した「令和6年度 介護労働実態調査」によると、訪問介護員・介護職員の離職率は12.4%です。過去と比較すると低下傾向にあるものの、依然として全産業平均を上回る水準が続いています。

さらに注目すべきは、29歳以下の離職率が18.7%と、全体平均より約6ポイントも高い点です。若い世代ほど辞めやすいということは、将来の介護人材がどんどん流出していることを意味します。

離職理由の上位は「人間関係」と「業務負担」

同調査で離職理由の上位に挙がったのは、以下の項目です。

  • 職場の人間関係に問題があった(34.3%)
  • 他に良い仕事・職場があった
  • 収入が少なかった(16.6%)
  • 業務負担が大きかった

一見すると「人間関係」が最大の問題に見えます。しかし、業務負担が大きい職場では余裕がなくなり、結果としてスタッフ同士の関係が悪化するケースが非常に多いのです。つまり、業務負担の軽減は、人間関係の改善にも直結します。

なぜ「書類業務」が最優先なのか

介護の業務負担というと、身体介助のきつさをイメージする方が多いかもしれません。しかし、現場のスタッフが日々ストレスを感じているのは、実は書類業務です。

書類業務が現場を圧迫する3つの理由

  • サービス残業の温床になる:ケアの合間に記録を取る時間がなく、勤務時間外に書類を書く
  • 二度手間・三度手間が当たり前:手書きメモ→PC転記→日報→月次報告書と同じ内容を何度も書き直す
  • 本来のケアに集中できない:書類に追われることで、利用者と向き合う時間が削られる

「介護の仕事が好きで入ったのに、書類ばかり書いている」——この不満が蓄積し、離職につながるのです。

実体験:AI記録システムで月100時間の書類業務を削減した事例

ここからは、私が実際に関わった事例をご紹介します。

導入前の状況

あるデイサービス(利用者約150人・スタッフ約50人規模)では、記録業務が深刻な問題になっていました。

  • 手書きメモで利用者の状態を記録
  • それをスプレッドシートに転記
  • さらに日報を作成
  • 月末には月次報告書をまとめる

同じ情報を何度も書き直す作業の繰り返しで、月100時間以上が書類作成に消えていました。スタッフは疲弊し、本来のケア業務に集中できない状況が続いていたのです。

導入したAI記録システムの内容

この施設向けに開発したのは、iPad上で動くPWA(プログレッシブウェブアプリ:インストール不要でブラウザから使えるアプリ)ベースのAI記録システムです。

  • 10種類の専用入力フォームを用意し、タップ操作で記録が完了
  • 入力されたデータをもとに、AIが月次報告書を自動生成
  • 手書きメモ→転記→日報→月次報告という多重工程を一気に解消
AI記録システム導入のBefore/After比較図:導入前は手書きメモからスプレッドシート転記、日報、月次報告書と多重工程で月100時間以上消費。導入後はiPad入力とAI自動生成の2ステップで月100時間削減、年間約180万円の人件費削減を実現。

導入後の成果

  • 月100時間の業務削減(年間約180万円分の人件費に相当)
  • スタッフから「すごく助かる」という声
  • 途中からスタッフが積極的に「こうしてほしい」と改善要望を出すようになった
  • 60代のITに詳しくない施設長でもすぐに使えた

特に印象的だったのは、スタッフの姿勢の変化です。最初は「また新しいシステムか」という反応だったのが、使い始めると自発的に改善提案をしてくれるようになったのです。書類業務の負担が減ったことで心に余裕が生まれ、前向きに仕事に取り組める環境ができたのだと感じています。

ICT導入が離職率改善につながる根拠

この事例は、私たちだけの特別なケースではありません。厚生労働省も介護現場へのICT(情報通信技術)導入を積極的に推進しています。

公的データが示すICT導入の効果

厚生労働省の調査や実証事業では、ICTを導入した介護施設で以下のような効果が報告されています。

  • 業務時間の33%削減に成功した施設の事例
  • 時間外労働の約39%削減を実現した特別養護老人ホームの事例
  • 「業務管理が効率化された」「間接業務の時間が削減された」という声が多数

また、令和6年度の介護報酬改定では、ICTやテクノロジーを活用した生産性向上の取り組みに対して新たな加算が設けられました。国としても、ICT導入による業務改善を制度面から後押ししている状況です。

書類業務の削減が離職防止につながるメカニズム

書類業務を減らすことが離職率の改善につながる流れを整理すると、以下のようになります。

  • 残業が減る → ワークライフバランスが改善
  • ケアに集中できる → 仕事のやりがいを感じやすくなる
  • 心に余裕が生まれる → 人間関係が改善される
  • 「ここで働き続けたい」と思えるようになる

離職理由の上位である「人間関係」「業務負担」の両方にアプローチできるのが、書類業務の削減なのです。

介護施設がICT導入で失敗しないためのポイント

「ICTを導入したいけど、うちのスタッフに使いこなせるだろうか」という不安は、多くの施設長が抱えています。実際に導入支援をしてきた経験から、成功のポイントを3つお伝えします。

1. 現場の業務フローに合わせたシステムを選ぶ

汎用的なソフトをそのまま入れるのではなく、自施設の業務の流れに合ったシステムを選ぶことが重要です。私たちが開発したシステムでも、10種類の入力フォームはすべてその施設の業務に合わせてカスタマイズしました。

2. ITスキルを前提としない設計にする

今回の事例では、60代の施設長がすぐに使えたことが大きなポイントでした。タップ操作だけで完結するシンプルな設計にすることで、ITに詳しくないスタッフでも抵抗なく使い始められます

3. スタッフの声を反映して改善を続ける

導入はゴールではなくスタートです。実際に使い始めてから出てくるフィードバックを反映することで、現場にとって本当に使いやすいシステムに育てていくことができます。

まとめ:離職率対策の第一歩は書類業務の見直しから

介護施設の離職率を下げるためには、給与改善や人間関係の改善など、さまざまなアプローチがあります。しかし、最も即効性があり、効果を実感しやすいのが書類業務の削減です。

私たちが支援した施設では、AI記録システムの導入により月100時間の業務削減を実現し、スタッフが前向きに働ける環境を作ることができました。

書類業務の負担を減らすことは、単なるコスト削減ではありません。スタッフが本来の介護業務に集中でき、やりがいを持って働き続けられる環境づくりそのものです。

「うちの施設でも書類業務を減らしたい」「AIやICTの導入を検討したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。施設の規模や業務内容に合わせた最適なご提案をいたします。

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