介護記録の音声入力AI 5選比較|記録時間を半分にする無料・有料ツールと導入手順【2026年版】
介護記録の音声入力AIが注目を集めています。キーボード操作が苦手なスタッフでも、話すだけで記録が完成する——そんな時代がすでに始まっています。
利用者150人・スタッフ50人規模のデイサービスでiPad+AI記録システムを開発し、月100時間の業務削減を達成した経験をもとに、現在注目の音声入力AIツール5つを比較し、導入時の注意点を解説します。
なぜ介護現場に音声入力が必要なのか
介護現場での記録業務は、多くのスタッフにとって大きな負担です。ケアの合間にPCやタブレットの前に座り、キーボードで入力する時間がなかなか取れません。特に以下のような場面では、タブレット入力すら困難です。
- 排泄介助中:両手がふさがっている
- 入浴介助中:水回りでタブレット操作が難しい
- 移乗介助中:安全確保が最優先
音声入力なら、ケアをしながらその場で記録できます。スマートフォンをポケットに入れたまま、ヘッドセットを使って話すだけ。記録は後回しにせず、その瞬間の情報を正確に残せるのが最大のメリットです。
介護記録の音声入力AI 5選

1. ハナスト(CAREKARTE連携)
エクサウィザーズが開発した介護記録AIアプリです。もともと「CareWiz 話すと記録」という名称でリリースされ、現在はケアコネクトジャパンのCAREKARTEと連携して提供されています。
特徴:
- スマホをポケットに入れたまま、利用者名と介助内容を話すだけでAIが記録を自動作成
- 介護に関連する言葉だけをAIが認識し「記録カード」として自動整理
- インカム機能を搭載しており、スタッフ間の情報共有と記録が1つのアプリで完結
- CAREKARTEとの連携で請求業務までシームレスに対応
導入効果:スタッフ1人あたり1日40分の時間削減(公式発表)
向いている事業所:CAREKARTEを既に導入している施設。連携がスムーズ。
2. ワイズマン 音声記録AIオプション
介護ソフト大手のワイズマンが2026年3月にリリースした最新のソリューションです。BONXのインカムアプリ「BONX WORK」を音声入力システムとして活用しています。
特徴:
- 業務中にインカムを通じて発話するだけで記録が作成される
- ワイズマンシステムSPとの完全な統合
- 従来のAmiVoice音声入力とは異なり、AIによる記録の自動整形機能を搭載
向いている事業所:ワイズマンのシステムSPを既に利用している施設。既存環境への追加導入が容易。
3. ミルモレコーダー(ウェルモ)
株式会社ウェルモが提供する音声テキスト化AIサービスです。医療・介護現場に特化して設計されています。
特徴:
- 音声を自動で文字起こしし、希望のフォーマットに要約する機能を搭載
- 「ミルモオートメーション」との組み合わせで、支援経過記録や訪問看護記録への自動転記が可能
- 医療・介護の専門用語に対応した高精度な音声認識
向いている事業所:訪問看護や居宅介護支援など、移動しながらの記録が多い事業所。
4. AmiVoice(アドバンスト・メディア)
音声認識技術では20年以上の実績を持つアドバンスト・メディアの製品です。ワイズマンをはじめ、多くの介護ソフトとの連携に対応しています。
特徴:
- 介護専門用語の認識精度が高い
- PCのキーボード代わりに、マイクに向かって話した内容がそのまま入力される
- 複数の介護ソフトとの連携実績が豊富
注意点:AIによる自動整形機能は搭載されておらず、あくまで「音声をテキスト化する」ツールです。話した内容がそのまま入力されるため、記録としての文章を意識して発話する必要があります。
向いている事業所:既存の介護ソフトを変更せず、音声入力機能だけを追加したい事業所。
5. Google音声入力+ChatGPT(汎用ツールの組み合わせ)
専用ツールを導入する予算がない場合でも、スマートフォンの標準音声入力とChatGPTを組み合わせることで、簡易的な音声記録環境を構築できます。
方法:
- スマートフォンのメモアプリで音声入力を使い、ケア内容を音声でテキスト化
- テキスト化した内容をChatGPTに貼り付け、「介護記録のフォーマットに整えてください」と指示
- ChatGPTが整形した記録を介護ソフトにコピー&ペースト
メリット:追加費用がほぼかからない(ChatGPTの月額約3,000円のみ)
デメリット:手作業のステップが多く、専用ツールほどの効率化は見込めない。個人情報の取り扱いにも注意が必要。
向いている事業所:まず音声入力を試してみたい、予算を最小限に抑えたい事業所。
音声入力AI導入時の5つの注意点
1. 介護専門用語への対応力を確認する
一般的な音声入力では「褥瘡(じょくそう)」「嚥下(えんげ)」「拘縮(こうしゅく)」といった介護専門用語が正しく変換されません。導入前に必ず、自施設でよく使う用語が正確に認識されるかテストしてください。
2. 周囲の騒音環境を考慮する
介護現場はテレビの音、利用者の会話、機器の音など騒音が多い環境です。ノイズキャンセリング機能付きのヘッドセットを使用するか、静かな場所で入力するなど、音声認識の精度を保つ工夫が必要です。
3. 個人情報の取り扱いに注意する
音声データがクラウドにアップロードされるツールの場合、利用者の個人情報が外部サーバーに送信されることになります。サービス提供元のプライバシーポリシーと、データの保管場所・管理体制を必ず確認しましょう。
4. 記録の最終確認は必ず人間が行う
どんなに精度が高い音声入力でも、誤変換はゼロにはなりません。特に投薬量や利用者名の間違いは重大なミスにつながります。AIが生成した記録は必ずスタッフが目視で確認するフローを組み込んでください。
5. 段階的に導入する
全スタッフに一気に導入するのではなく、まずはITに慣れている2〜3名から始めましょう。使い方のコツやノウハウが溜まってから、他のスタッフに展開するほうが定着率は格段に上がります。
Fyveの開発知見:音声入力とAI記録の連携
私たちFyveが手がけた介護施設向けのシステムでは、音声入力→テキスト化→AI記録連携の仕組みを独自に構築しました。
市販の音声入力ツールと最も異なるのは、事業所独自の記録フォーマットや業務フローに完全に合わせている点です。汎用ツールでは「ツールの仕様に合わせて記録の書き方を変える」必要がありますが、カスタム開発なら「今までの書き方のまま、AIが自動で整形する」ことが可能です。
例えば、スタッフが「田中さん、昼食8割摂取、水分200ml、機嫌よし」と話すだけで、事業所のフォーマットに合った記録文が自動生成される。このような現場のリアルな運用に合わせた仕組みは、カスタム開発ならではの強みです。
まとめ:音声入力AIで記録時間を半分にするために
介護記録の音声入力AIは、現場の記録業務を大幅に効率化できるツールです。ただし、ツール選びで重要なのは「最も高機能なもの」ではなく、「自分の事業所に最もフィットするもの」です。
選び方のポイントをまとめます。
- 既存の介護ソフトとの連携対応を最優先で確認する
- 介護専門用語の認識精度を実際にテストする
- 導入コストだけでなく運用コスト(月額費用・保守費用)も比較する
- まずは少人数でトライアルし、効果を確認してから全体展開する
「うちの事業所に合った音声入力の仕組みを作りたい」「既存のツールでは対応しきれない部分がある」という場合は、カスタム開発もぜひ選択肢に入れてみてください。
