端末を超えてどこからでもClaude Codeを操作する
コーディングはもはやデスクトップだけの作業ではありません。 AnthropicのBoris Cherny氏は日常的にスマートフォンからコードを書いており、「端末を選ばずにコーディングできること」がClaude Codeの設計思想の1つだと語っています。
Claude Codeのセッションは、ターミナル、Webブラウザ、モバイルアプリ、デスクトップアプリの間を 自由に行き来できます。 朝の通勤中にスマートフォンでタスクを開始し、オフィスに着いたらターミナルに引き継ぎ、 外出先ではブラウザから進捗を確認する――そんなワークフローが実現できます。
このページでは、デバイス間でセッションを移動するためのコマンドとワークフローを解説します。
/remote-control(エイリアス: /rc)は、 ローカルのターミナルセッションを任意のWebブラウザやモバイルデバイスから操作可能にするコマンドです。
使い方はシンプルです。ターミナルで/rcと入力すると、URLが生成されます。 そのURLをスマートフォンや別のPCのブラウザで開くだけで、ターミナル上のClaude Codeセッションを リモートから操作できるようになります。
# ターミナルで実行
> /rc
# → URLが表示される
# → そのURLをスマホのブラウザで開く
# → ターミナルのセッションをリモート操作可能にBoris氏のおすすめは、/configで「Remote Control for all sessions」を有効にすることです。 これを設定しておくと、すべてのセッションが自動的にリモート操作可能な状態で起動します。 毎回/rcを打つ手間がなくなり、いつでもスマートフォンからアクセスできます。
活用シーン: ノートPCで長時間かかるタスクを開始し、席を離れる。 スマートフォンから進捗を確認し、Claudeからの確認ダイアログを承認する。 戻ってきたらタスクが完了している――この流れが/rcの真価です。
/rcは「今ターミナルで動いているセッションを、手元のスマホから監視・操作したい」ときに使います。 セッション自体はローカルPCで動き続けるため、ファイルシステムへのフルアクセス、 MCPサーバーとの接続、ローカルの開発サーバーとの連携がすべて維持されます。
たとえば、データベースのマイグレーションスクリプトを実行中に外出しなければならない場面を考えてください。 マイグレーションの途中で「このテーブルを削除してよいか?」という確認が出ることがあります。 /rcを有効にしておけば、電車の中からスマートフォンで「Yes」を押せます。 ローカルのDBコネクションもファイル操作もそのまま動き続けるので、 帰社したときにはマイグレーションが完了しています。
また、CIでテストが落ちたときの修正にも使えます。 ターミナルで「CIの失敗を修正して」と指示してから昼食に出かけ、 途中でClaudeが「この修正でプッシュしていいか?」と聞いてきたらスマホから承認する。 席に戻る前に修正PRがマージされていた、という流れが日常になります。
/teleportは、/rcとは逆方向の移動を実現するコマンドです。 クラウド上のセッション(claude.ai/codeやモバイルアプリ)を、 ローカルのターミナルに引き込みます。
たとえば、外出先でモバイルアプリからタスクを開始したとします。 オフィスに戻って本格的にコーディングしたいとき、 ターミナルで/teleportと入力するだけで、そのセッションをローカルに引き継げます。
# ターミナルで実行(クラウドセッションをローカルに引き込む)
> /teleport
# CLIから直接実行する場合
$ claude --teleportクラウド環境では利用できないツールやファイルシステムへのアクセスが必要になった場合、/teleportでローカルに切り替えることで、フルパワーのターミナル環境を活用できます。
/teleportが特に便利なのは、クラウドで始めた作業がローカルリソースを必要とし始めたときです。 具体的には以下のようなケースがあります。
docker execでDBスキーマを確認し、実装を続けられる。/teleportで引き継がれるのは会話の履歴(コンテキスト)です。 「さっき何を議論したか」「どんな方針で実装を進めていたか」といった文脈がそのまま維持されるため、 ローカルに移動した後も「続きをお願い」と言うだけで作業を再開できます。
一方で、クラウド環境で生成されたファイルはローカルに自動転送されません。 クラウド上で作成したファイルが必要な場合は、 /teleport後にClaudeに「さっき作ったファイルをもう一度作成して」と指示するか、 事前にGitリポジトリにコミット・プッシュしておくのが確実です。
/desktop(エイリアス: /app)は、 現在のターミナルセッションをClaude Code Desktopアプリケーションに引き継ぐコマンドです。 macOSとWindowsで利用可能です。
Desktopアプリには、ターミナルにはない便利な機能があります。 フロントエンド開発の確認に使える統合ブラウザ、 Gitのworktreeを管理するチェックボックスUI、 そしてコード差分を視覚的に確認できるリッチなインターフェースです。
# ターミナルで実行
> /desktop
# → 現在のセッションがDesktopアプリで開くターミナルでロジックを書いた後、UIの見た目を確認したいときに便利です。 わざわざブラウザを開いてURLを入力する手間なく、 Desktopアプリの統合ブラウザでそのまま確認できます。
Boris氏はDesktopアプリの統合ブラウザについて、 「Claudeに出力を検証する手段を与えることが最も重要なコツだ」と語っています。 Webページを作るのに自分でブラウザを使えない人に頼むようなもの――結果が良くなるはずがない。 統合ブラウザがあれば、Claudeはコードを書き、表示を確認し、 見た目が良くなるまで自分で修正を繰り返せます。
iOS/AndroidのClaudeアプリには、専用のCodeタブが用意されています。 スマートフォンからコード変更のレビュー、PRの承認、フィードバックの送信が可能です。
モバイルアプリをダウンロードするには、Claude Codeで/mobileと入力します。 エイリアスとして/ios、/androidも使えます。 QRコードが表示されるので、スマートフォンで読み取ればダウンロードページに遷移します。
# QRコードを表示してアプリをダウンロード
> /mobile # または /ios, /androidBoris氏は「コードレビューやPRの承認はスマートフォンからやっている」と語っています。 移動中の隙間時間にPRをレビューし、問題がなければそのまま承認。 デスクに戻る前にマージまで完了させることも珍しくないそうです。
モバイルアプリはコードを「書く」だけでなく、作業を「監督する」ために使うのが効率的です。 たとえば、朝の通勤電車で以下のような指示を出します。
# モバイルアプリから指示する例
「昨日のPRのレビューコメントを確認して、修正が必要な箇所をすべて直して。
修正が終わったらPRを更新して」電車を降りてオフィスに着くころには、Claudeがレビューコメントを読み、 コードを修正し、PRを更新し終えています。 あなたがやるのは結果の確認だけです。
もう1つの強力な使い方は、複数のWebセッションの同時監視です。 claude.ai/codeで3つのタスクを並列実行している場合、 モバイルアプリのCodeタブからすべてのセッション一覧を確認できます。 どのタスクが完了し、どのタスクが承認待ちかを一目で把握できるため、 移動中でもプロジェクト全体の進行を管理できます。
claude.ai/codeにアクセスすれば、ブラウザ上で直接Claude Codeのセッションを開始できます。 ターミナルを開く必要がなく、共有PCや不慣れな環境からでもすぐにコーディングを始められます。
CLIから新しいWebセッションを作成することも可能です。claude --remoteを実行すると、クラウド上に新しいセッションが作られ、 ブラウザで操作できる状態になります。
# CLIからWebセッションを起動
$ claude --remote
# リモート環境のデフォルト設定を変更
> /remote-envBoris氏はWebセッションを5〜10個並列で実行することを推奨しています。 それぞれ異なるタスクを割り当てれば、1人で複数の作業を同時進行できます。 ターミナルを複数開く必要がなく、ブラウザのタブで管理できるのも利点です。
ポイント: Claude Code Webは「ターミナルが使えない状況」だけでなく、 「並列タスクの同時実行」にも有効です。 メインのターミナルで集中的にコーディングしつつ、 Webセッションでテスト実行やドキュメント生成を並行して走らせるのが効率的です。
Claude Code Webは便利ですが、CLIとは異なる特性があることを把握しておく必要があります。
Claude Code Webは、チームにClaude Codeを導入するときの最初の入口として最適です。 ターミナル操作に慣れていないメンバーでも、ブラウザを開くだけで使い始められます。
導入のステップとしては、まずWeb版で基本的な操作(コード生成、レビュー依頼、ファイル編集)を 体験してもらいます。Claude Codeの対話スタイルや指示の出し方に慣れたら、 必要に応じてCLIやDesktopアプリに移行する流れが自然です。
実際、Web版だけでも十分に生産性は上がります。 GitHubリポジトリと連携すれば、PRの作成・レビュー・マージまでWeb上で完結します。 「ターミナルが使えないからClaude Codeは無理」という障壁がなくなるのは、 組織への導入を考えるうえで大きなメリットです。
ここまで紹介したコマンドを組み合わせると、 1日の流れの中でデバイスをまたいだシームレスなワークフローが構築できます。 いくつかの実践パターンを紹介します。
通勤中にモバイルアプリでタスクを開始します。 「この機能のテストを書いて」とClaude Codeに指示しておきます。 オフィスに着いたら、ターミナルで/teleportを実行。 モバイルで進行中だったセッションがローカルに引き継がれ、そのまま深い作業に入れます。
ターミナルで大規模なリファクタリングを進めていたが、会議の時間になった。/rcでリモートコントロールを有効にして席を離れます。 会議中にスマートフォンからClaude Codeの確認ダイアログを承認。 戻ってきたらリファクタリングが完了しています。
自宅のPCからclaude.ai/codeにアクセスし、日中の作業の状態を確認。 気になる箇所を見つけたら、その場で修正を指示します。 翌朝、ターミナルで/teleportして続きに取りかかります。
出張先のホテルで、持参していないプライベートPCの代わりにホテルのPCを使うケースを考えてください。 claude.ai/codeを開き、GitHubリポジトリを指定してセッションを開始します。 緊急のバグ修正をその場でコーディングし、PRを作成してチームにレビューを依頼。 翌日オフィスに戻ったら、自分のPCのターミナルで/teleportして続きを引き取ります。 ローカル環境を一切セットアップしなくても作業を止めずに済む――これがWeb版の真価です。
セッションは「場所」ではなく「作業」に紐づくもの。 デバイスを変えても同じ作業を継続できる――これがClaude Codeのマルチデバイス設計の考え方です。
/rc、/teleport、/desktop、新規セッション。選択肢が多いと、 どれを使うべきか迷うこともあるはずです。 以下の判断基準を頭に入れておけば、迷わずに済みます。
セッションの実行環境はローカルPCのまま、操作だけを別デバイスに移す場合です。 ローカルのファイルシステム、MCPサーバー、Docker環境をそのまま使い続けられます。 席を離れるとき、長時間タスクの監視、権限承認の遠隔操作に最適です。
モバイルやWeb(claude.ai/code)で開始した作業を、 ローカルのターミナルに移して深い開発作業を続けたい場合です。 会話のコンテキスト(何を議論したか、どんな方針で進めていたか)が引き継がれます。 「外出先で方針を決めて、オフィスで実装する」パターンに向いています。
ターミナルでロジックを書いた後、フロントエンドの表示確認をしたい場合です。 Desktopアプリの統合ブラウザ、diff表示、worktree管理UIが使えます。 作業の性質が「テキスト中心の実装」から「ビジュアル確認」に変わったタイミングで切り替えます。
既存のセッションとは無関係な新しいタスクを始めるときは、 新しいセッションを立ち上げるのが正解です。 過去の会話コンテキストが不要な場合、引き継ぎのオーバーヘッドを避けられます。 claude.ai/codeなら「New Session」をクリックするだけ。 CLIならclaudeを引数なしで実行するだけです。
判断のコツ: 「今の作業がどこで動いていて、次にどこで動かしたいか」を考えれば選択肢は絞れます。 ローカル → 外(/rc)、外 → ローカル(/teleport)、ターミナル → GUI(/desktop)。 方向さえ決まればコマンドは自動的に決まります。
/branchは、現在のセッションから分岐した会話を作成するコマンドです。 Gitのブランチと同じ発想で、現在の状態を保持したまま別の方向を試せます。
「この方向で試してみたいけど、うまくいかなかったら戻りたい」という場面で威力を発揮します。 分岐先で実験し、結果が良ければそのまま進み、ダメなら元のセッションに戻るだけです。
# 現在のセッションを分岐
> /branch
# 特定のセッションIDからフォーク
$ claude --resume <session-id> --fork-session
# 元のセッションに戻る
$ claude -r <original-session-id>たとえば、アーキテクチャの選択肢が2つあるとき。/branchで分岐して選択肢Aを試し、別の/branchで選択肢Bを試す。 それぞれの結果を比較してから、最終的な方向を決定できます。 セッションの状態が保存されているため、いつでも好きな地点に戻れます。
/branchはリモート機能と組み合わせるとさらに強力です。 実際のワークフロー例を見てみましょう。
ターミナルでNext.jsのページ実装を進めていて、 レイアウトをCSS GridにするかFlexboxにするかで迷っているとします。 ここで/branchを2回実行し、それぞれに「Grid版を実装して」「Flexbox版を実装して」と指示します。 /rcを有効にしておけば、ランチの間にスマホから両方の進捗を確認できます。 戻ってきたら、結果を比較して良い方を採用し、もう一方は破棄するだけです。
Web版(claude.ai/code)でも同様のことができます。 Webセッションで分岐を作って実験し、結果が良かった方を/teleportでローカルに引き込む。 クラウド上で安全に試行錯誤してから、確信を持ってローカルに取り込めます。
ポイント: /branchはリモートやマルチデバイスと組み合わせると特に便利です。 「分岐して試す → 離席中に進行 → 戻って比較」という流れで、 時間を無駄にせず複数の選択肢を検証できます。
Claude Code DesktopアプリにはCowork Dispatchという機能があります。 これはClaude Codeの開発作業とは異なり、 PCの操作そのものを遠隔から委任できる仕組みです。
Boris氏は「コーディングしていない時間はDispatchを使っている」と語っています。 Slackのメッセージに返信する、メールを整理する、ファイルを管理する ――こうした日常タスクをスマートフォンから指示して、PCに実行させます。
Dispatchが特に活きるのは、コーディング中の「割り込み対応」です。 ターミナルでClaude Codeが集中的にコードを書いている最中に、 Slackで「この資料を共有して」と頼まれた場面を想像してください。 従来なら作業を中断してSlackを開く必要がありましたが、 Dispatchを使えばスマホから「Slackで○○のファイルを共有して」と指示するだけ。 ターミナルのセッションは中断されず、PCがバックグラウンドで対応してくれます。
Claude Codeは「1台のPCに縛られるツール」ではありません。/rcでリモート操作、/teleportでクラウドからローカルへの引き込み、/desktopでリッチなUIへの切り替え、モバイルアプリで移動中の操作、 claude.ai/codeで並列セッションの実行。 これらを組み合わせることで、場所やデバイスを問わない開発ワークフローが実現できます。
導入のステップとしては、まず/configでRemote Controlを常時有効にし、 スマートフォンにClaudeアプリをインストールすることから始めてください。 この2つだけで「席を離れても作業が止まらない」体験が手に入ります。 そこからclaude.ai/codeでの並列セッション、/teleportでのセッション引き込み、 /branchでの実験的分岐と、使える技を段階的に増やしていくのがおすすめです。