Date
2026/03/25
Category
AI業務効率化
Title
介護ICT導入の効果は「時間短縮」だけじゃない|現場が語るケアの質の変化
介護施設にICTを導入したら、どんな効果があるのか。「コスト削減」だけではない、現場のリアルな変化を知りたい方へ。
私たちは利用者150人・スタッフ50人規模のデイサービスで、iPad+AI記録システムを開発・導入し、月100時間の業務削減を達成しました。しかし、導入後に施設長から聞いた言葉は「時間短縮よりも大きな変化があった」というものでした。
この記事では、厚生労働省の調査データと現場の声を交えながら、介護ICT導入の「本当の効果」をお伝えします。
介護職員にとって、記録や書類作成は大きな悩みの種です。ある調査では、介護職員が「苦手な業務」の第1位に挙げたのが「介護記録の記載」でした。理由として「忙しくて時間が取れない」「パソコンや手書きが苦手」という声が多く上がっています。
この背景には、介護職員の年齢構成があります。介護労働安定センターの令和5年度調査によると、介護職員の平均年齢は46.7歳、訪問介護員に至っては54.7歳です。50歳以上が全体の7割以上を占める現場で、毎日の記録作成は大きなストレスになっています。
さらに、定員150人規模の施設では、手書きで記録を行った場合年間約18,000時間を記録業務に費やしているという試算もあります。スタッフ1人あたりに換算すると、1日1〜2時間を記録に充てている計算です。
つまり介護現場では、「書類作業が苦手な職員が多い」のに「書類作業の量が膨大」という、非常に厳しい状況が日常的に発生しているのです。
こうした現状に対して、ICT導入はどれほどの効果があるのか。厚生労働省が実施した「ICT導入支援事業 効果報告」(令和3年度)のデータを見てみましょう。

注目すべきは、「文書作成時間の短縮」だけでなく、「コミュニケーションの増加」「情報共有の円滑化」といった、ケアの質に直結する変化が大多数の施設で起きていることです。
また、特別養護老人ホームの導入事例では時間外労働が39%削減されたケースも報告されています。記録業務1人あたり月170分(約2.8時間)の短縮に成功した施設もあります。
実は厚生労働省自身も、介護分野の「生産性向上」を「間接業務を削減し、利用者と接する時間を増やすこと」と定義しています。事務作業の効率化は、国の方針としても推進されている取り組みなのです。
ここからは、私たちFyveが実際に開発・導入を手がけた介護施設での話です。
導入したのは、iPadからタップと音声入力で記録を入力し、AIが日報・月次報告書・家族への報告書を自動生成するシステムです。結果として月100時間の業務削減を達成しました。
しかし、導入後に施設長から聞いた話は、数字以上に印象的でした。
「正直、コスト削減の効果よりも大きかったのは、職員の変化です」
施設長によると、事務作業に追われていた時間が減ったことで、職員が利用者と向き合う時間が明らかに増えたとのこと。それだけでなく、以下のような変化が起きたそうです。
この声は、先ほどの厚労省データとも完全に一致しています。事務時間の短縮がコミュニケーション時間の増加につながり、それがケアの質の向上を生む。ICT導入の真の効果は「コスト削減」ではなく「ケアの質の向上」にあるのです。
もう1つ見逃せないのが、離職率への影響です。
令和6年度の介護労働実態調査によると、介護職員の離職理由の第1位は「職場の人間関係に問題があったため」(34.3%)です。給与への不満よりも、人間関係が最大の離職要因なのです。
一見すると、ICT導入と人間関係は無関係に見えます。しかし、厚労省のデータが示す通り、ICT導入後に88.0%の施設で「スタッフ同士の話し合い時間が増えた」と回答しています。
事務作業に追われている状態では、職員同士が十分にコミュニケーションを取る余裕がありません。申し送りも最低限になり、認識のズレや不満が溜まりやすくなります。事務負担が軽減されることで対話の時間が生まれ、チームワークの改善 → 人間関係の向上 → 離職率の低下という好循環が期待できるのです。
私たちが手がけた施設でも、導入後にスタッフの定着率が改善傾向にあるとの報告を受けています。
ここまでの内容を整理すると、ICT導入によるケアの質向上は以下のメカニズムで起きています。

重要なのは、このサイクルが「時間の削減」から始まっている点です。逆に言えば、事務負担を減らさない限り、いくら「ケアの質を上げろ」「コミュニケーションを取れ」と言っても、現場には物理的な余裕がないのです。
ICT導入を検討する際に迷うのが、「パッケージソフトを買うか、カスタム開発するか」という選択です。
私たちFyveが手がけた事例では、事業所のフォーマットに完全に合わせたシステムを構築したことで、現場のオペレーションを一切変えずにデジタル化を実現しました。「ソフトに合わせて運用を変える」のではなく「運用に合わせてシステムを作る」アプローチです。
これは特に、ITに不慣れなスタッフが多い介護現場では大きな違いを生みます。使い慣れた業務の流れのまま、記録だけがデジタル化される。だから抵抗感なく定着するのです。
「効果はわかったが、費用が心配」という声もよく聞きます。2026年度は介護ICT導入に使える補助金が充実しています。
補助金を活用することで、カスタム開発でも実質負担を大幅に抑えることが可能です。
介護施設へのICT導入効果をまとめます。
ICT導入は「業務効率化のツール」ですが、その本質的な価値は「職員が利用者に向き合える環境を作ること」にあります。
「うちの施設でもICT導入を検討したい」「何から始めればいいかわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。施設の規模や業務フローに合わせた、無理のないICT導入をご提案します。
Company
株式会社Fyve
Address
〒810-0001
福岡県福岡市中央区天神4丁目6-28
天神ファーストビル7階
Tel
080-1460-2728
info@fyve.co.jp