Date
2026/03/31
Category
AI業務効率化
Title
AI×人手不足対策|介護・建設・保育での実践事例
AI 人手不足 対策というテーマで、私が実際に関わった介護・建設・保育の3業界での取り組みをご紹介します。「人を増やす」のではなく「業務を減らす」アプローチで、現場の負担を大幅に軽減できた実体験です。
人手不足の話になると、多くの企業がまず「採用を強化しよう」と考えます。しかし現実には、そもそも労働市場に人がいない業界が存在します。
厚生労働省の第8期介護保険事業計画によると、2025年度には介護職員が約32万人不足すると試算されています。国土交通省のデータでは、建設業の就業者数は1997年のピーク時685万人から2023年には479万人まで減少し、約200万人以上が業界を離れました。これは採用活動の巧拙ではなく、構造的な労働力不足です。
こうした状況で私が実践してきたのは、「今いる人数で回せる業務設計にする」というアプローチです。AIを活用して業務そのものを削減することで、採用できなくても現場が機能する状態を作る。この発想の転換が、3業界での取り組みで共通していました。

あるデイサービス施設(利用者150人・スタッフ50人規模)での話です。現場スタッフは、利用者の様子を手書きメモに記録し、それをスプレッドシートに転記し、日報を作成し、月次報告書にまとめ、さらに家族への手紙に書き直す、という一連の作業を毎月繰り返していました。
同じ情報を何度も書き直す作業に、月100時間以上が費やされていました。年間に換算すると約1,200時間。これは正社員1人分の労働時間の6〜7割に相当します。
私が開発したのは、iPad対応のPWA(現場スタッフ用)とPC向けOfficeアプリ(事務員用)を組み合わせたシステムです。主な機能は以下のとおりです。
結果として、月100時間の書類業務が削減されました。人件費換算で年間約180万円分の効果です。
特に印象的だったのは、60代でITに慣れていない施設長がすぐに使いこなせたことと、導入後しばらくするとスタッフから「この部分をこうしてほしい」という改善意見が積極的に出始めたことです。業務の効率化が進むと、現場のエンゲージメントも上がる。これは数字に出ない副次効果でした。
建設業界の人手不足対策として、別のアプローチも有効でした。従業員約50人の建設会社が抱えていた最大の課題は採用でした。同社はそれまでWebサイトを持っておらず、求職者が検索しても会社の存在が出てこない状態でした。
コーポレートサイトの制作とMEO対策(Googleマップ上の露出改善)を組み合わせ、地域の求職者が検索したときに会社を見つけられる状態を整えました。建設業は現場仕事のため、SNS採用よりも「地域で検索されたときに上位に出る」ことの効果が大きい業界です。
保育士の人手不足も深刻で、現場では常に「手が塞がっている」状態が続きます。ある施設では、園児の様子をメモ帳に走り書きしていたものの、後から読み返せないケースが頻発していました。
解決策として導入したのが、スマートフォンの音声入力とデータベース・スプレッドシートを連携させたシステムです。保育士がポケットからスマホを取り出し、一言話しかけるだけで記録が完了します。園児から目を離さずに記録できるため、安全性も維持しながら業務の負担を下げることができました。
「高度なAI」でなくても、音声入力+自動保存の仕組みで十分に現場の課題は解決できる。この事例はその好例です。

経済産業省のDXレポートが指摘するように、レガシーな業務フローを放置すれば経済損失は年間最大12兆円規模に達するとされています。これは大企業だけの話ではなく、中小企業・現場ベースの業種にも同様の構造があります。
私が3業界の現場で共通して感じたのは、「人手が足りない」と言われている現場の多くで、AIが代替できる作業が大量に残っている、という事実です。転記・整形・定型文生成・分類・集計。これらはすべてAIが得意とする作業です。人間がやる必要はありません。
「AIと言われても何から始めればいいかわからない」という声をよく聞きます。私が実践してきたステップは以下のとおりです。
重要なのは、最初から全業務を変えようとしないことです。一つの成功体験が現場のITアレルギーを取り除き、次の改善への意欲につながります。前述の介護施設で、スタッフが自発的に改善意見を出し始めたのも、まさにこの流れでした。
介護・建設・保育という3つの業界に共通していたのは、「人が足りない」のではなく「一人あたりの業務量が多すぎる」という構造的な問題です。採用市場に人がいない以上、今いる人員で回せる業務設計にすることが最も現実的な人手不足対策になります。
AIは決して万能ではありませんが、転記・整形・報告書生成・記録管理といった定型業務の代替には非常に有効です。導入のハードルも、5年前に比べれば大幅に下がっています。
「うちの業界でもAIを使えるのか」と感じた方は、ぜひ一度、自社の業務フローを「繰り返し作業の洗い出し」から見直してみてください。意外と多くの業務が、今すぐAIに任せられる状態になっているはずです。
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